著者
相田 勇
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.713-730, 1982-03-31

南海道沖におこる巨大地震による津波の波源断層モデルを数値実験によって検討した.1946年南海地震を東西二つの断層によってあらわす.今回求められた断層モデルの特徴は,西側断層の西端が,足摺岬の東側約30kmにあること,東側の断層面の傾斜角が10°と低角であることである.また西側断層による海底変動継続時間を断定することはむずかしいが,3~10分程度と,普通の地震より長い方が,計算波形と実際記録の一致がよい.1854年安政南海地震津波の波源断層モデルは,南海地震の断層とくらべて,東側断層が北側に位置し,西側断層が30km長く求められた.また,ずれの量は約15%大きい.このモデルで大阪の津波の高さは2.4mとなるが,従来の推定値よりやや低い.しかし海岸においてこの程度の高さがあるならば,堀に津波が侵入する際,多くの船を上流に押し込み,地震をおそれて船上に避難していた人多数を犠牲にする可能性は十分あると考えられる.1707年宝永津波の場合は,足摺岬付近の津波の高さが,安政津波の約1.5倍もあり,また室戸岬,高知の地盤変動量が安政地震の際の約2倍といわれている.このため安政津波と相似形の波源断層モデルではよく近似できない.ここでは西側断層を更に二つに分割して三つの断層面をもうモデルによってこれを説明した.

言及状況

Wikipedia (5 pages, 5 posts, 2 contributors)

編集者: X-enon147
2020-07-30 05:43:30 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。
編集者: X-enon147
2020-08-26 08:08:06 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。
編集者: Bcxfubot
2021-10-04 18:43:15 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。
編集者: Bcxfubot
2020-07-16 15:34:01 の編集で削除されたか、リンク先が変更された可能性があります。

収集済み URL リスト