- 著者
-
池内 隆夫
上野 学
- 出版者
- 泌尿器科紀要刊行会
- 雑誌
- 泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.4, pp.321-325, 1993-04
Prostatodynia症例において排尿症状の程度をBoyarsky scoreで算定して治療成績との関係を検討し,難治症例における尿流障害についてUFMで検索した。1)初診時より排尿に関する訴えが高度な症例(Boyarsky score 7以上)の頻度は9.3%に相当した。2)排尿症状が高度な患者は排尿症状がないまたは弱い患者に比較して治療成績が有意に低く,現行の治療法では反応しない前立腺以外の臓器に由来する別の疾患の合併または混入の可能性が強いと推測された。3)排尿症状が強く難治の症例のUFM所見は,最大尿流量率異常を89%に,尿流曲線異常を100%に認め,下部尿路の器質的または機能的障害に起因する疾患が強く疑われた。4)Boyarsky scoreによる排尿症状の程度の把握および排尿症状高度症例に対するUFMによる検索は,下部尿路の器質的・機能的障害に起因する疾患を鑑別してprostatodyniaから除外するためのスクリーニング法として臨床的有用性が高い