著者
小田 雄一
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
人文學報 = The Zinbun Gakuhō : Journal of Humanities (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.33-47, 2011-03

本論文では,食の差異から,差異の表象が生み出されるプロセスを考察する。いま,「差異の表象」が指示するものは,とくに人種についてである。異なる食習慣は,しばしば異なる<人間>の表象を生み出し,それらは知らずして差別と結びつきやすい。そうした過程を考えるうえで,ここでは,おもにユダヤ人の特異な食事の規定を題材とし,それが反ユダヤ主義とどのように接続されていたかについて焦点を当てる。反ユダヤ主義は,古代から現代まで連綿と続く人種主義のひとつの典型である。これらの考察を通して,根拠のない表象が,なぜわれわれにリアリティをもってしまうのか,ということを考える糸口としたい。

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