著者
小松原 哲太
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2012-03-26

本論文の目的は、多様な修辞現象を認知過程の観点から記述し、その相互関係の一部を明らかにすることである。研究方法は、基本的に認知文法のアプローチを採用する。研究対象は修辞学で分類されてきた多様な修辞現象であり、言語データとしては、主に日本文学の古典的テクストから採集した修辞表現を用いた。本論文の内容は、以下のように要約される。第1章では、研究の問題意識と本論文の構成について述べた。第2章では、これまでの比喩研究の中から数十をとりあげ、比喩の性質を考察した。また、比喩の認知過程をもとに、転義現象の一般的な修辞過程について述べ、修辞作用モデルとして提示した。第3章では、本論文の理論的背景となる認知文法の理論を概説し、スキーマの定義をおこなった。また、修辞現象を適切に規定していくために、修辞作用のスキーマと、カテゴリーの地形モデルを提案した。第4章では、修辞作用モデルにしたがって修辞性を分類した。つづいて、隠喩、直喩、比喩くびき、異義兼用、異義反復、類音語接近、かすり、誇張、緩叙、対比、対義結合、換喩、提喩、転喩、省略、黙説、転換、意味構文、破格くびき、代換、限定語反転、交差呼応、転移修飾という23の修辞をとりあげ、百数十の具体事例とともに、その認知的なスキーマを記述し、相互関係をネットワークのかたちで明示した。第5章では、比喩表現の理解と身体経験的基盤について、いくつかの複合的な修辞現象の具体事例をもとに、考察をおこなった。6章では本論文の結論と、研究の展望について述べた。

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