著者
曽我部 真裕
出版者
KDDI総研
雑誌
Nextcom
巻号頁・発行日
no.16, pp.15-23, 2013-12-01

本稿は、従来の学説と近年の批判論を踏まえ、通信の秘密条項(憲法21条2項)の解釈論を試みる。従来の解釈論は通信事業が国営であることを前提としたものであるが、民営化・自由化後の今日では、民間事業者に憲法の拘束は及ばず、民間事業者の義務は憲法の趣旨等を踏まえた法律によって創設されたものと位置づけられる。他方、国家に対する憲法的な要請としては、通信の秘密を侵害しないという不作為義務が中心であり、近時主張されている通信制度の設営義務といった広汎な作為義務を憲法から引き出すことには慎重であるべきである。

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