著者
藤村 達也
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.67, pp.15-28, 2021-03-25

本稿は、「受験英語」における英文解釈法が歴史的にいかに展開してきたのかを、入試問題や受験生の変化といった英語教育に対する外的要因によって説明することを試みるものである。その際、「受験英語の神様」と呼ばれた英語講師、伊藤和夫による英文解釈法である「構文主義」を中心に分析した。「構文主義」以前に主流だった英文解釈法は、日本語に訳しにくい「熟語」・「公式」の暗記が中心であった。「構文主義」はこれを批判し、英文を体系的に分析する原理と、英文を「直読直解」する視点を提示し、後に「構文主義」は後者を重視するようになった。「構文主義」の登場以後は、これを批判的に継承する様々な方法が現れた。こうした展開全体を通じて、受験生の多様化および入試問題の長文化という外的変化の影響が見られることを指摘した。また、「受験英語」において様々な英文解釈法が生まれる原因として、予備校における講師間の卓越化競争の存在を指摘した。

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“「受験英語」における英文解釈法の歴史的展開 --伊藤和夫の「構文主義」を中心に--”

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