著者
溝口 侑
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.67, pp.375-388, 2021-03-25

本稿の目的は、ロールモデルについて、様々な支援関係、特にメンターと対比させて概念整理を行い、キャリア教育におけるロールモデルの可能性と有効性について検討することである。現代においてロールモデルは従来的な役割行動を示すだけではなく、模倣する対象であると同時に、行動や意思決定に対して様々な影響を与える人物である。また個人との関係性においてロールモデルはメンターと異なる存在である。メンターが個人と支援者の双方向的・互恵的な関係であるのに対して、ロールモデルは個人から対象への一方向的な関係である。したがって、キャリア教育におけるロールモデルは効果的であると同時に効率的であるといえる。しかし、適切なロールモデル候補を選び、学生がその人物に対して共感的な態度で触れように促す必要がある。

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