著者
鵜川 始陽 皆川 宜久 小宮 常康 八杉 昌宏 湯淺 太一
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SIG13(PRO18), pp.72-83, 2003-10-15

実行にスタックを利用している処理系でファーストクラスの継続を生成する場合,スタックの内容をヒープにコピーするのが一般的である.スタックの内容をヒープにコピーする戦略には様々なものが提案されているが,実際の処理系の多くはスタック法を採用している.スタック法では継続の生成のたびに処理系のスタック全体の内容をヒープにコピーする.このように,スタック法は動作が単純なので簡単に実装でき,また他言語呼び出しをサポートした処理系でも利用できるという長所がある.しかし,継続の生成に時間がかかり,また,メモリ効率が悪いという欠点があり,利用の妨げとなる場合もある.本発表では,スタック法による継続の生成に対する効率化手法として,スタックのコピーの遅延を提案する.継続の生成によりコピーされるスタックの内容は,継続を生成した関数からリターンするまでスタック上にも残っている.したがって,スタックのコピーを継続を生成した関数からリターンするまで遅らせてもよい.もし,生成した継続が,スタックをコピーする前にごみになれば,スタックのコピーを省略できる.本発表では,さらに,スタックコピーの遅延により可能となる,継続オブジェクトの部分的共有も提案する.これらの効率化手法をScheme処理系に組み込んで性能を評価したところ,継続を使ったプログラムの実行効率が改善された.

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