- 著者
-
金田 重郎
- 雑誌
- 研究報告情報システムと社会環境(IS)
- 巻号頁・発行日
- vol.2011-IS-117, no.7, pp.1-8, 2011-08-29
Object 指向は,英語圏で開発された概念であり,英語の認知構造が反映されている.しかし,我が国の学生・SE は,日本語に 「翻訳」 されたテキストを用いて,Object 指向を学んでいる.例えば,「オブジェクト指向は,対象世界の 『もの』 に着目して,ビジネスを分析する手法」 とされる.しかし,認知文法では,英語の Object は,日本語の 「もの」 とは一致せず,可算概念 (名詞) と対応する.Person は,Object であるが,Water は Object ではあり得ない.Event は Object である.一方,Object を 「もの」 と認識してしまうと,「発注」 等の 「イベント」 を Obejct として扱うべきか否かを悩むことになる.日本語によるヒアリング結果・仕様記述をクラス図へ変換する作業は,日英翻訳に等しい.そこに,日本語で Object 指向を学ぶひとつの困難性がある.この問題を解決するためには,Object 指向の学習に認知文法の学習を取り入れ,機械翻訳におけるプリエディットと同等の作業を,クラス図の作成時に,を行う必要がある.認知文法は,この変換作業におけるプラクティスとして利用できる.