- 著者
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若宮 翔子
李 龍
角谷 和俊
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, no.3, pp.159-176, 2013-06-28
今日の都市における交通ネットワークの複雑化や人々の活動領域の拡大などにより,都市空間での近接感は単に地理的な距離だけでなく移動時間や訪れる頻度によって歪んでおり,あらゆる場所間の近接関係を直感的に測ることが困難である.そのため,ユーザの目的ごとに距離や時間などの観点から都市空間での近接性の歪みを考慮して近接したところを容易に探せるようにする必要がある.本研究では,経験的・社会的な観点から生じる空間の歪みによる都市地域の複雑な近接関係を抽出するために,位置ベースSNSを通した群衆の移動経験に基づく地域間の近接性分析手法を提案する.具体的には,都市空間での膨大な群衆のライフログが簡単に得られるTwitterを用いて実空間における群衆の移動経験を観察し,市区町村を単位とした地域間の近接性を測定し,都市空間における地域クラスタ間の空間的な歪みを分析する.実験では,Twitterにおける群衆のライフログと社会調査の一環として地域間の移動量を集計したパーソントリップOD量データを用いて群衆の移動経験を抽出し,移動距離,移動時間,移動量の観点で測定した地域クラスタ間の近接性を比較する.また,日常生活における規則的な移動に関する調査結果であるパーソントリップOD量データと比べ,Twitterのデータを用いた群衆の移動経験では,より多様な目的の移動経験を中心とした地域クラスタ間の近接性を観察することが可能であることを示す.