著者
岩下 直行
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.441-456, 2019-07-15

本稿では,ビットコインを始めとする暗号資産(仮想通貨)が社会へ展開していく中で,その情報セキュリティへの脅威と対策を概観することで,情報セキュリティ技術の観点から,今後,ブロックチェーン技術が社会から受容されるための条件について考える.サトシ・ナカモトによるビットコインの提案と実装を契機として,暗号資産は一世を風靡したが,現在は相場も下落し,安全性に対する信頼も損なわれた状態にある.個人のプライバシを守るための匿名の決済手段として提案されながら,当初の構想を逸脱してしまったのは,一般の投資家が秘密鍵を管理できないという現実に対応するためであった.その結果,交換業者がサイバー攻撃の犠牲となり,安全性が損なわれる事態を来した.今後,ブロックチェーン技術が社会に受け入れられていくためには,暗号資産が辿った歴史を踏まえて,利用者サイドにおける秘密鍵管理を含めた情報セキュリティ対策の底辺をしっかり固めていく必要があると考えられる.

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色々と的確なことを言っていて勉強になりました。技術者としてはコードが支配する世界に憧れを抱いちゃう側面もある。 https://t.co/JiKSezbNBv

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