著者
岩下 直行
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1095-1101, 2018-11-15

ここ数年,金融業界において大流行しているフィンテックという言葉は,銀行による新技術の導入,仮想通貨,キャッシュレス決済など,多義的に使われている.それらは多様だが,「インターネットを利用して顧客に新しい金融サービスを提供する」という点では共通している.同時に,新たな情報セキュリティ上の脅威を生み出し,新たな対策を必要とする点も同じである.しかし,ITによる利便性,生産性の向上を重視するのであれば,金融機関もその利用者も,システムとセキュリティに対する考え方を一歩進め,信頼できるものをしっかり峻別することが必要である.銀行とその利用者の奮起が期待されている.
著者
岩下 直行
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.441-456, 2019-07-15

本稿では,ビットコインを始めとする暗号資産(仮想通貨)が社会へ展開していく中で,その情報セキュリティへの脅威と対策を概観することで,情報セキュリティ技術の観点から,今後,ブロックチェーン技術が社会から受容されるための条件について考える.サトシ・ナカモトによるビットコインの提案と実装を契機として,暗号資産は一世を風靡したが,現在は相場も下落し,安全性に対する信頼も損なわれた状態にある.個人のプライバシを守るための匿名の決済手段として提案されながら,当初の構想を逸脱してしまったのは,一般の投資家が秘密鍵を管理できないという現実に対応するためであった.その結果,交換業者がサイバー攻撃の犠牲となり,安全性が損なわれる事態を来した.今後,ブロックチェーン技術が社会に受け入れられていくためには,暗号資産が辿った歴史を踏まえて,利用者サイドにおける秘密鍵管理を含めた情報セキュリティ対策の底辺をしっかり固めていく必要があると考えられる.
著者
岩下 直行
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.876-881, 2017-09-15