- 著者
-
小澤 洋介
品川 高廣
- 雑誌
- 研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
- 巻号頁・発行日
- vol.2021-OS-151, no.9, pp.1-11, 2021-02-22
ライブマイグレーションでは,仮想マシンを動作させたままメモリの内容を移行元から移行先へと同期させるため,移行元で仮想マシンが書き込んだメモリ領域を動的に検知して再転送する必要がある.従来の書き込み検知はページ単位でおこなわれているが,Intel はまもなくサブページ書き込み保護と呼ばれるページより細かい粒度でのメモリ保護が出来る機構を導入予定であり,これをライブマイグレーションに応用することでメモリ転送量の削減やマイグレーション時間の短縮が期待できる.一方,この機構は書き込み時にダーティビットをセットする代わりにページフォルトを発生させるため,実行時の CPU オーバーヘッドの増加が予想される.本研究では,様々なワークロードにおける書き込み操作のトレースからメモリ転送量の削減効果や CPU オーバーヘッドの大きさを分析し,ライブマイグレーションにおけるサブページ書き込み保護機構の有効性を評価した.エミュレータを用いた評価の結果,メモリ転送量の削減によりマイグレーション時間は多くのワークロードにおいて従来方式よりも短縮できることや,あるワークロードではサブページ書き込み保護のみがマイグレーションを完了させられることが分かった.また,CPU オーバーヘッドは,ページのゼロクリア命令を検出して書き込み検知の最適化をおこなうことにより 8.3%~54.5% 程度に抑えられることが分かった.