著者
楠 恒輝 加藤 純 佐藤 充
雑誌
コンピュータシステム・シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.56-62, 2022-11-28

近年,大規模計算の需要の高まりとともに,HPC(High Performance Computing)とクラウドが融合した HPC クラウドが注目されている.HPC クラウドでは,通常のクラウドのインフラとは別に HPC クラウド専用のインフラを構築・運用しているのが現状であり,通常のクラウドのインフラで HPC アプリケーションを実行できれば,インフラのTCO(Total Cost of Ownership)を最適化できる.本稿では,インフラの共有化を目指して,HPC に特有である OS がアプリケーションの性能低下を引き起こす OS ノイズの影響を定量評価する.OS ノイズのうち,クラウド環境に特有である仮想化と HPC アプリケーションで頻繁に使用され他テナントに影響を与えやすい通信処理・ファイル I/O による Write back 処理の 3 点に着目して評価する.HPC クラウドでよく使われるアプリケーションを用いた評価で,Kubernetes 環境の仮想化により 1% 未満,他テナントの Write back 処理,通信処理によりそれぞれ最大 7%,22% 性能が低下することを示した.これにより,HPC クラウドの基盤として Kubernetes が利用可能であることと,通信処理と Write back 処理による OS ノイズが我々の目指すインフラ共有化の課題であることを示した.

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ComSys 2022の優秀若手発表賞は、「HPCクラウドでのOSノイズの定量評価」を発表した楠 恒輝さん(富士通)が受賞しました。 https://t.co/MTeohSAqes

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