著者
山之内 浩司
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.118-123, 2004-03-01

近年,若年者の間でボディーピアスが流行しており,口腔内においても舌ピアスの装着者が増加しつつある.これに伴い,舌ピアス装着に続発した重症感染症や金属アレルギーなど種々のトラブルが報告されており,今後,このようなケースに遭遇する機会が増加することが予想される.今回われわれは舌体深部にピアスが迷入したまれな1例を経験したのでその概要を報告する.患者は19歳男性で,舌の違和感と摂食障害を主訴に,近医からの紹介により当科を受診した.初診時,舌背正中部にわずかな腫脹を認め,触診で球状の硬固物を触知した.下顎咬合法X 線写真にて舌正中部に直径約3㎜,円形のX線不透過像を認めた.臨床診断は舌内異物で,局所麻酔下に異物の摘出術を行い,摘出物については元素分析を行った.術後2年11ヶ月経過した現在,舌の運動障害,味覚障害もなく経過良好である.

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