著者
土屋 薫
雑誌
情報と社会 = Communication & society
巻号頁・発行日
vol.18, 2008-03-15

「メディア・ビオトープ」という概念は生態学の隠喩として発想される。分子生物学の知見に基づけば, 一部の不完全な情報からでも必要な情報をつくりだして生命を維持しようとするのが生物であるが, 生物体内の分子レベルで起こるこのような動的平衡をつくりだすことが, メディア・ビオトープの基本的な構築条件だと思われる。これを社会単位で構想するとき, 日常と非日常のバランスモデルである聖―俗―遊の三項図式の中で「遊」概念が注目される。多様なメディア構成と情報から, ゆるやかな情報クラスターが生成され, 情報と人間とがアドホックに出会う場こそがメディア・ビオトープの具体的な姿の一つだとすると, その要件は「潜在性」にあり, アブダクションに至る以前の「共感」段階にこそ, その本質がある, ということができる。これは一種のマッチング・システムであるが, 重要なのは結果ではなく, むしろマッチしなかったときに自己塑性されるセカンド・オピニオンを得るための, 冗長性を保持するしくみづくり, ということができるだろう。

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