著者
紙 博文 カミ ヒロフミ Hirofumi Kami
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.61-77, 2004-02

本稿の目的は、消費税法にかかる益税(現象)を吟味し、益税(現象)を通して消費税法の実質、実態を明らかにすることである。 ""益税""とは何か。本稿で述べたように納税義務者である事業者、とりわけ免税業者等が、我々から預かった消費税額を自分の懐へ入れているという意味での益税は存在しない。むしろ、自分の利益を割って納付する免税業者等の""損税""と大企業サイドに発生する""隠れた益税""(過剰転嫁含む)こそが指摘されなければならない。だが、我々消費者の中小零細事業者に対する""益税感""は根強い。それは、こうした感覚を抱く、消費税法のいくつかの条文、それを助長する環境、および特例措置の存在があるからである。 消費税の役割は、あくまでも所得に関する補完としての役割を担うべきである。しかしながら、わが国では、所得、財産と同様に基幹税としての役割を持たされつつある。それは、税率を引き上げにより容易に税収(1%=約2.5兆円の税収になる)が確保される。すなわち、消費税が微税し易く、依存され易い性格であるためである。そして、こうした消費税率の上昇は、結局は、その人の""所得""に帰着し、消費者にいっそうの不公平感を与え、それが助長されていくのである。

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