著者
日暮 琢磨 中島 淳
出版者
横浜市立大学医学会
雑誌
横浜医学 = Yokohama Medical Journal (ISSN:03727726)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1・2, pp.35-46, 2017-05-30

大腸癌の罹患率,死亡率は本邦のみならず世界中で増加傾向であり対策が求められている.特定の栄養素や医薬品の投与によって癌を積極的に予防するという方法を化学予防というが,糖尿病の治療薬のひとつであるメトホルミンを用いた大腸癌の化学予防の取り組みを概説する.メトホルミンは複数の大規模疫学研究により内服者は非内服者と比較して大腸癌を含む種々の癌の発生が少ないことが報告されている.我々はこの事実に着目し,2つの大腸発癌モデルマウスを用いてメトホルミンの予防効果を実証し,その機序がAMPKの活性化とmTORの抑制にあることを示した.更にトランスレーショナルリサーチとして臨床研究を行い,大腸癌の代替指標であるヒト直腸にあるAberrant Crypt Foci が減少すること,ポリープ切除後の新規ポリープの発生を抑制することを,無作為比較試験を実施し報告した.大腸癌の罹患,死亡の抑制に向けて今後更なる発展が期待される.

言及状況

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@takapon_jp 一般的な認識としては… 米国の日系移民男性は、日本で生まれた日系移民男性の2 倍大腸がんリスクが高く現地白人男性より60%大腸癌リスクが高かったことが報告されており、日本人は欧米型生活習慣の影響を受け大腸癌リスクが高くなりやすい人種であることが示唆され https://t.co/wq4tSVi2AQ

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