著者
豊泉 清浩
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.27-38, 2015-12-20

「特別の教科道徳」に対する期待とともに批判もある現状を踏まえ、改めてわが国の道徳教育の歴史について考察し、学校における道徳教育の意義について検討するのが、本稿の目的である。本稿では、明治期の修身科の成立から、第二次世界大戦が終結するまでの期間の道徳教育の歴史を、教科書の歴史と関連づけて考察する。戦前の修身教科書は、翻訳教科書の時代から、検定教科書の時代を経て、国定教科書の時代へと変遷していった。国定修身書にも、近代的社会倫理、基本的な自由の権利、市民的連帯、近代的職業倫理、国際協調、国際平和など、戦後の民主主義や平和主義につながる内容が見られる時期もあったが、一貫してその根底にあったのは、国体重視を基調とする国家主義であった。明治期を経て、大正デモクラシーの時代が過ぎ、やがて軍国主義・超国家主義の時期を迎える歴史の流れを、修身科に焦点を当てて概観する。

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