著者
石川 博美
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.177-183, 2015-12-20

脂肪酸やステロールは天然・自然界に広く分布しており,生命維持に重要な役割を果たしている.抗菌効果や抗炎症作用の高いManuka と,生活習慣病予防との関係で注目されている日本茶と,n-3 系の多価不飽和脂肪酸の含有量が多く,抗酸化作用が高いと言われているグリーンナッツについて,脂質組成や脂肪酸組成,ステロール組成を比較検討した.脂質組成ではManuka の葉・樹皮,新茶の茎,秋の茶の茎にフォスファチジルエタノールアミン(PE)が特に多かった.ステロール組成ではManuka の樹皮にβ–シトステロールが62㎎と多い含有量であった.脂肪酸組成ではManuka の葉とグリーンナッツおよび秋の茶の葉に,n-3 系のα-リノレン酸の含有量が多かった.α–リノレン酸は光や熱に弱く酸化されやすいが,グリーンナッツオイルは熱にも強いと言われているので,グリーンナッツオイルを160 ~ 180℃に加熱したところ,ほとんどの脂肪酸は加熱処理により増加傾向を示したが,α-リノレン酸のみ約10% の減少傾向が認められた.Manuka や日本茶,グリーンナッツなど天然植物の脂質組成やステロールは血漿高コレステロール低下作用などの生理作用との関連性が示唆されると共に,天然植物の季節による変化の大きい事が示された.

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