- 著者
-
安木 新一郎
- 出版者
- 函館大学
- 雑誌
- 函館大学論究 (ISSN:02866137)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.2, pp.177-181, 2020-03
ヒジュラ暦694 年(1295 年~ 1296 年)に東トルキスタンのホータンで作られた銀貨にはパスパ文字mが刻印されている。従来、ロシア語圏の研究者はこのmはチベット文字で、チャガタイ家の諸王のタムガ(占有標)、あるいは「母」を意味する頭文字だと解釈してきた。しかしながら、ホータンを含むトルキスタンのオアシス地帯はモンゴル帝国直轄領であり、1269 年に制定されたパスパ文字m はトルキスタン総督を世襲したヤラワチ一族を表したものと考えられる。