著者
大橋 美幸
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.59-92, 2018-10

北海道新幹線の開業3年目に、函館市等の街頭、イベントでアンケートを行い、開業前、開業直後と比較した(回収数3824)。 北海道新幹線の利用経験は函館5割、他の沿線5~6割、札幌3割であり、沿線だけでなく遠方からも利用されている。目的は道内外ともに観光が多く、開業直後から変わっていない。 沿線への開業の影響は、経済・社会全体に「プラス」、観光客数が「増えた」と函館、新幹線駅地元で5~7割に評価されており、おおむね肯定的に捉えられている。ただし、1年前に比べて実感は薄くなりつつある。 道外からの移動は、東北8割、北関東4割が新幹線を利用しており、東北で開業前のJR利用が移行し、北関東で飛行機からの一部乗り換えが起こっている。訪問先は函館のみが8割程度であり、開業直後から変わっていない。周遊につながっておらず、新幹線の開業効果を限定的なものにしている。
著者
安木 新一郎
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.11-32, 2020-10

「森の民」の中には集団名がその居住する河川名によるものがあり、モンゴル高原と同じく、チョルゲ(漢語では路)という流域ごとに集団を把握するという統治手法が採られていたことがわかる。また、地名をテュルク語で表しており、シベリア統治においてリンガフランカ(族際共通語)、あるいは行政用にテュルク語が使われていたか、もしくはサモエード語話者のテュルク語への移行が見られる。さらに、ジョチ朝・シビル国の影響はエニセイ河中下流域にまで及んでおり、のちにロシアはシビル国が利用してきたイルティシュ、オビ、エニセイ河流域の既存の河川網を伝って侵略し、各地でヤサク(毛皮税)を取り立てることができたと考えられる。参考書や資料集に載せられたモンゴル帝国の版図を表す地図では、元朝やジョチ朝の範囲がシベリアの真ん中あたりまでとなっているものが多い。しかしながら、『元朝秘史』の記述を前提とするならば、14 世紀第1 四半期の元朝の版図はエニセイ河とアンガラ河の合流域より南までで、西シベリアおよびエニセイ河口域にいたる北極圏はジョチ朝の版図となる。
著者
安木 新一郎
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.177-181, 2020-03

ヒジュラ暦694 年(1295 年~ 1296 年)に東トルキスタンのホータンで作られた銀貨にはパスパ文字mが刻印されている。従来、ロシア語圏の研究者はこのmはチベット文字で、チャガタイ家の諸王のタムガ(占有標)、あるいは「母」を意味する頭文字だと解釈してきた。しかしながら、ホータンを含むトルキスタンのオアシス地帯はモンゴル帝国直轄領であり、1269 年に制定されたパスパ文字m はトルキスタン総督を世襲したヤラワチ一族を表したものと考えられる。
著者
佐藤 浩史
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.1-37, 2022-03

本研究では、地域活性化イベントを持続可能なスポーツツーリズムイベントとするための戦略策定モデルに必要な要素の探索をする。プレイス・ブランディング論に述べられる sense of place の概念が地域のステークホルダーには、どのようにとらえられているのか長期に継続される昭和新山国際雪合戦大会のステークホルダーから聞き取り調査を行った。地域のステークホルダーは、スポーツツーリズムイベントが施行される地域に対して、野菜や温泉など産品である有形の資源と人柄、街、大会そのものというイメージからなる無形の資源が重要であることが共存しどちらかが優位ということではなかった。結果この事例からは、スポーツツーリズムを継続していくためには、有形の資源と無形の資源の両方が結び付いて戦略策定していくことを重視しておくことが必要であろう。
著者
大橋 美幸
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 = The review of Hakodate University (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.99-121, 2018-03

近年、地域に暮らす人の幸福度から政策評価が行われている。当事者の主観からニーズ把握を行うもので注目される。 今回、幸福度の観点から、急増する一人暮らし高齢者に求められる取り組みを考察した。一人暮らし高齢者について、これまで自治体を超えた幸福度調査はあまりなかったが、最近、一人暮らし高齢者の全国調査が行われ、分析結果の地域への応用利用が期待される。 全国調査の二次分析から、幸福度が低くなりやすい基本属性として、性別、年代、身体的及び精神的な健康状態が把握された。取り組みの対象者として、特に男性の前期高齢者で、身体的及び精神的な健康状態があまり良くない一人暮らし高齢者が優先されるべきである。また、幸福度が高くなりやすい生活要因として、会話の頻度、経済的な暮らし向きが把握された。経済的な暮らし向きに目を向けつつ、会話を増やすような働きかけによって、幸福度を高めていく可能性がある。
著者
坂野 学
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.23-45, 2020-03

現代中国の劇作家曹禺の建国後初作品「明朗的天」について、「思想改造」の情況をどのように描いたかを考察する。曹禺は「思想改造」に賛同するのだが、この作品で、集団による運動の場面をことごとく舞台上で再現していない。しかし、それは曹禺の見識とみるべきであって、けっして批判すべきものではないことを提示する。
著者
中村 和之
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.59-69, 2021-10

During the 13th and 14th centuries, the water in the lower Amur basin began to freeze. This climatic event lasted from the eighth month of the lunar calendar until the fourth or fifth month of the following year when thawing began. Such records are found in the Chinese historical sources of the 13th and 14th centuries. Compared with early 20th century data, it can be seen that the climate in the 13th and 14th centuries was cold. The example shows evidence of cooling in the high latitudes of Eurasia.
著者
安木 新一郎
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.75-81, 2022-03

2006 年の北朝鮮に対する経済制裁以降、貿易統計上、日本のシジミ輸入の大部分はロシア産が占めることとなった。ところが、2020 年 2 月から 2021 年 12 月末まで、ロシアからの輸入量はゼロとなっている。ロシアの日本向けシジミは、沿海地方ナデジディンスキー地区の綏芬河(ラズドリナヤ河)口で漁獲されていたが、2019 年から 2022 年 1 月末現在までヤマトシジミ漁獲は禁止されている。また、樺太(サハリン)南部の富内湖(トゥナイチャ湖)では、水質悪化によりヤマトシジミの絶滅が危惧されている。
著者
大橋 美幸
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.47-76, 2018-03

北海道・北東北の縄文遺跡群は世界遺産への登録を目指している。各地の取り組みのインタビュー等を行った。webサイト、ガイドブックが作られ、ガイドの育成、発掘や土器野焼き等を行う観光商品の販売等がされている。 加えて3つの調査を行った。首都圏(ツーリズムEXPO来場者調査)における縄文遺跡群の認知度は「三内丸山遺跡」でさえ3人と1人と低くなっていた。業界・プレスの認知度も高くなく、業界・プレスに焦点をしぼったPR活動が求められる。 地元(函館での縄文文化関連イベントの来場者調査)では世界遺産を目指していることをおおよそ知っており、近隣の関連施設に行っている。取り組みに参加したいがしていないが2割であり、参加の機会が求められる。 地元への観光客(函館での縄文文化関連施設の観光客調査)からは、施設は縄文遺跡群と一連のものとしてとらえられていなかった。包括的につなげる仕組みが必要である。近隣の観光周遊はされてあり、移動手段等に改善が求められる。
著者
安木 新一郎
出版者
函館大学
雑誌
函館大学論究 = Blletin of Hakodate University (ISSN:02866137)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.11-32, 2020-10

「森の民」の中には集団名がその居住する河川名によるものがあり、モンゴル高原と同じく、チョルゲ(漢語では路)という流域ごとに集団を把握するという統治手法が採られていたことがわかる。また、地名をテュルク語で表しており、シベリア統治においてリンガフランカ(族際共通語)、あるいは行政用にテュルク語が使われていたか、もしくはサモエード語話者のテュルク語への移行が見られる。さらに、ジョチ朝・シビル国の影響はエニセイ河中下流域にまで及んでおり、のちにロシアはシビル国が利用してきたイルティシュ、オビ、エニセイ河流域の既存の河川網を伝って侵略し、各地でヤサク(毛皮税)を取り立てることができたと考えられる。参考書や資料集に載せられたモンゴル帝国の版図を表す地図では、元朝やジョチ朝の範囲がシベリアの真ん中あたりまでとなっているものが多い。しかしながら、『元朝秘史』の記述を前提とするならば、14 世紀第1 四半期の元朝の版図はエニセイ河とアンガラ河の合流域より南までで、西シベリアおよびエニセイ河口域にいたる北極圏はジョチ朝の版図となる。