著者
久保田 健夫
出版者
聖徳大学
雑誌
研究紀要 = Bulletin of Seitoku University, Bulletin of Seitoku University Junior College (ISSN:21876843)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.73-80, 2020

要旨 胎児の発生過程で遺伝子を精巧に調節するしくみであるエピジェネティクスが、幼少期の環境で変化し子どもの体質や性格を変えることが明らかにされ、子育てや保育、療育の生物学的エビデンスになる可能性が考えられ始めた。これを踏まえ、本研究では、子どもの神経と精神の発達の面からエピジェネティクス研究論文を探索し、子どもの発達理解に役立つ知見を抽出することを試みた。その結果、エピジェネティクスは、環境ストレスに対するからだやこころの受け皿、虐待によって子どもの脳に変化がもたらされるメカニズム、そして幼少期の環境で確立した体質を生涯持続させるシステムとして働いていることが判明した。以上よりエピジェネティクスは、幼少期の良好な食習慣の確立や発達障害児へのストレスの少ない環境など、良好な子どもの脳の発達を促す環境の理解に有用な生物学的エビデンスを提供する学問分野になると思われた。

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