著者
金 琄淑
出版者
聖徳大学
雑誌
研究紀要 = Bulletin of Seitoku University, Bulletin of Seitoku University Junior College (ISSN:21876843)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.49-56, 2019

要旨 本研究は、日本と韓国の小学校英語カリキュラムの評価を両国の中学校教員1,167 名への質問紙調査をもとに明らかにしたものである。分析の結果、両国の英語授業で教員が感じる生徒の様子では、小学校英語カリキュラムの影響がみられた。「教科型」の韓国の小学校英語の方が中学校1年生の英語にスムーズに移行していた。一方、日本の「外国語活動」は「英語への慣れ親しみ、異文化間コミュニケーションの基礎」に、韓国は英語技能と関わる部分に小学校英語学習の高い有用感がみられたが、韓国の「英語力の格差」が89%で、51.5%の生徒が小学校の段階で英語に興味をなくしていることは示唆するところが大きい。さらに、両国とも中学校英語教員は異文化間コミュニケーション能力が高く、小学校英語教育は「日常生活上、通常のコミュニケーションができる程度を目標にし、英語への興味や外国人と接する経験を中心に行うのが望ましい」と考えていた。
著者
横山 嘉子 藤原 しのぶ 岩崎 有希 白石 弘美 加納 和孝
出版者
聖徳大学
雑誌
研究紀要 = Bulletin of Seitoku University, Bulletin of Seitoku University Junior College (ISSN:21876843)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.77-83, 2019

要旨 【目的】本研究では牛乳清中のLPS/TLR 4シグナル抑制分子の検索を目的とした。【方法】TLR 4/CD14/MD2-HEK293 細胞及びRAW264.7 細胞を用い、LPS/TLR 4シグナルに対する乳清の阻害効果を調べた。【結果】乳清溶液では、LPS/TLR 4シグナルを介した、TLR 4/CD14/MD2-HEK293 細胞でのSEAP 発現、及びRAW 264.7 細胞接着の阻害が確認された。さらに、Superdex 75 10/300 GL クロマトグラフィーにより、LPS 刺激で誘導されるTLR 4/CD14/MD2-HEK293 細胞のSEAP 発現、及びRAW264.7 細胞からのTRAP 陽性多核巨細胞の形成を抑制する、proteinase K 感受性の分子量約7,000 の画分が得られた。【結論】乳清中に、従来報告のない分子量約7,000のLPS/TLR 4シグナル抑制分子の存在を見出した。
著者
久保田 健夫
出版者
聖徳大学
雑誌
研究紀要 = Bulletin of Seitoku University, Bulletin of Seitoku University Junior College (ISSN:21876843)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.73-80, 2020

要旨 胎児の発生過程で遺伝子を精巧に調節するしくみであるエピジェネティクスが、幼少期の環境で変化し子どもの体質や性格を変えることが明らかにされ、子育てや保育、療育の生物学的エビデンスになる可能性が考えられ始めた。これを踏まえ、本研究では、子どもの神経と精神の発達の面からエピジェネティクス研究論文を探索し、子どもの発達理解に役立つ知見を抽出することを試みた。その結果、エピジェネティクスは、環境ストレスに対するからだやこころの受け皿、虐待によって子どもの脳に変化がもたらされるメカニズム、そして幼少期の環境で確立した体質を生涯持続させるシステムとして働いていることが判明した。以上よりエピジェネティクスは、幼少期の良好な食習慣の確立や発達障害児へのストレスの少ない環境など、良好な子どもの脳の発達を促す環境の理解に有用な生物学的エビデンスを提供する学問分野になると思われた。
著者
関口 由香 長田 由紀子 伊波 和恵 菅沼 憲治 白﨑 けい子
出版者
聖徳大学
雑誌
研究紀要 = Bulletin of Seitoku University, Bulletin of Seitoku University Junior College (ISSN:21876843)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-6, 2019

要旨本研究は中高齢者のアサーティブネスに関する自己陳述を測定する尺度を開発し、その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。高齢者のアサーティブネスに関連する認知的側面を測定する項目を先行研究から抽出し、中高齢者のためのアサーティブネス自己陳述尺度が作成された。調査対象者は60 歳以上男女646 名(男性319 名、女性327 名)であった。因子分析の結果、受身的自己表現に関連する認知と考えられる「受身的思考」、攻撃的自己表現に関連する認知であると想定される「攻撃的思考」、アサーティブネスの考え方を理解している「アサーティブ思考」の3因子が抽出された。Cronbach のα係数による内的整合性が検討され、 中程度の信頼性が示された。また、シャイネス自己陳述尺度および怒りの自己陳述尺度、自尊感情尺度との基準関連妥当性が示された。その結果、アサーティブネスの概念と整合性のある高い妥当性が示された。