著者
財津 亘
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 = Mejiro Journal of Psychology (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-11, 2022-03-31

本研究は,連続バラバラ殺人における事件リンク分析の有効性を検討したものである。事件リンク分析とは,犯罪捜査の支援を目的として,統計学や心理学的手法を用いて犯行現場を分析する犯罪者プロファイリングの一種である。本研究では,二つの仮説を通して事件リンク分析の妥当性を検討した。一つ目の仮説は,同一犯人による連続殺人の犯罪行動は事件間で類似するといった「行動の一貫性」仮説であり,もう一つは異なる犯人の場合は連続殺人における犯罪行動は事件間で異なるといった「行動の識別性」仮説である。104名による120事件をオンライン新聞データベースより収集し,28カテゴリ(例.殺害方法や遺体の損壊,被害者の遺棄など)を多重対応分析によって検討した。多重対応分析の結果によると,連続犯の犯罪行動はその連続事件を通してまったく同じあるいは類似していたことから,前者の仮説は部分的に支持された。さらに,多重対応分析によると,次元上において104名がそれぞれ敢行した104事件の犯罪行動はまったくお互い合致することがなかったことから,後者の仮説を支持した。

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財津亘「連続バラバラ殺人事件の事件リンク分析に関する一考察」(2022) https://t.co/3r1ocvBpb0

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