著者
田中 洋平 Yohei Tanaka
雑誌
淑徳大学人文学部研究論集 (ISSN:21895791)
巻号頁・発行日
vol.第4号, pp.97-108, 2019-03-15

本論では中等教育段階における歴史教育と歴史学研究の結節を企図し、高等学校で使用されている日本史教科書の記述について、歴史学的知見からこれに検討を加えた。具体的には、近世宗教史分野の研究成果を整理するとともに、これに新たな研究知見を付与したうえで教科書の記述を再検討している。ここでは、これまでの研究史及び『肥後藩人畜改帳』の分析から、寺檀制度の成立に照応させつつ、それを担う寺院が建立されたことを確認し、にもかかわらず、そうした寺院がどの段階で造営されていったかという点について、教科書中には記述がないことを指摘した。併せて近世宗教史研究のうえで長らく議論されてきた「近世仏教堕落論」についても、これを教科書に記載したうえで、歴史事象に関する生徒間の討論を深化させるための素材とすることができる可能性について言及した。

言及状況

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PDF公開。田中洋平「仏教史研究と歴史教育:高等学校における日本近世史分野を中心に」(『淑徳大学人文学部研究論集』4、2019年3月)検討対象は寺檀制度。先行研究・史料・教科書記述を比較検討して、近世仏教史研究と現行高校教科書との課題を指摘。https://t.co/qXUs4wD5us #こんな論文がありました

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