- 著者
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内田 知宏
Tomohiro Uchida
- 雑誌
- 尚絅学院大学紀要 = Bulletin of Shokei Gakuin University (ISSN:2433507X)
- 巻号頁・発行日
- no.80, pp.17-27, 2020-12-18
統合失調症患者において体験される妄想の発生・維持に認知の歪みが関わっていると考えられているが、こうした病理モデルを健常者の妄想様体験(パラノイア)に当てはめ検討していく取り組みは、統合失調症を含む精神病の早期発見、早期介入という観点から重要であると考えられている。本研究において、大学生200名を対象に質問紙調査を実施した結果、認知的洞察や自己・他者スキーマといった認知的側面や、抑うつ、不安といった感情は、それぞれ単独でもパラノイア傾向と相関していたが、これらの心理的要因を組み合わせて検討することで、とくに、自己確信性で示されるような認知の硬さ、他者へのスキーマ、および抑うつがパラノイア傾向に影響を与えることが示された。こうした知見は、パラノイア傾向の強い個人の心理的要因を包括的に理解する上で、また認知行動療法を中心とした介入の標的を特定する上で役立つ可能性があると考えられた。