- 著者
-
小林 真
寺内 方克
中野 寛
江川 宜伸
- 出版者
- 日本芝草学会
- 雑誌
- 芝草研究 (ISSN:02858800)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.2, pp.157-169, 1998-03-31 (Released:2010-06-08)
- 参考文献数
- 10
土壌保全を目的としたパイナップル畦間被覆に適した芝草類として, 短期利用 (定植後約6カ月間) 向きではイタリアンライグラス晩生品種「フタハル」, 中期利用 (定植後6~12ヵ月間) 向きではセンチピードグラスを選定した。これらの草種・品種を定植直後のパイナップル圃場全面に播種したところ, 定植後1年間にわたって畦間を被覆し続けたが, 株際のイタリアンライグラスによってパイナップルの生育が阻害された。そこで, 黒色ビニルマルチを張ってからパイナップルを定植し, あらかじめ芝草種子を接着しておいた綿屑シートを畦間中央部に固定することによって播種したところ, パイナップル株際に芝草が繁茂することなく, 定植後1年間にわたって畦間を被覆することに成功した。雑草防除法と種子・資材コストの2点が問題として残されたが, 今後, 本研究で得られた知見は集約的な管理が不可能な亜熱帯地域で芝草を播種・造成する際に有用な情報として活用されるものと思われる。