著者
小森 雅子
出版者
福岡教育大学
雑誌
福岡教育大学紀要. 第二分冊, 社会科編 = Bulletin of Fukuoka University of Education. Part II, Social sciences (ISSN:02863227)
巻号頁・発行日
no.63, pp.37-48, 2014-02-10

無人機の偵察機としての機能は、人間にはできない領域で発揮されるとき、大きな価値を有する。人間が搭乗しないため、搭乗員の生命に対するリスクを考慮せずに、任務を遂行できるところが、高く評価されている。しかし、攻撃能力をあわせもった無人機を、人に対して使用する事例が、9・11 テロ以降、アメリカの展開する「対テロ活動」においてみられる。 本稿では、とくに、「ターゲット殺害」行為について、国際人道法の下の区別原則および均衡性原則の観点から、評価を行った。区別原則の下では、戦闘員と文民の区別の難しさなどを中心に指摘した。均衡性原則の下では、軍事的利益と付随的損害の相対的な関係を確認し、無人機攻撃に伴う付随的存在発生防止の難しさを確認した。また、これらの観点に加え、無人機攻撃という行為がもたらす影響およびその課題について、検討を行った。