著者
永野 仁
出版者
明治大学社会科学研究所
雑誌
明治大学社会科学研究所年報 (ISSN:04656091)
巻号頁・発行日
no.33, pp.45-46, 1993-07-01

1980年代の半ば,かなりの日本企業が,「リストラクチャリング(事業の再構築)」を合い言葉に,新規事業への進出を開始した。例えば,鉄鋼業を始めとする「重厚長大型」の産業では本業の停滞感が著しかったので,企業の存続や従業員の雇用維持のために,それを積極的に推進していった。その際の進出先は本業との差異が大きい情報産業やサービス産業などの「軽薄短小型」の産業が多かったので,別会社方式による進出がしばしば選択された。その結果,これらの別社会に対する従業員の出向が繁雑に発生するようになっていた。(この時点での状況は,研究担当者の単著『企業グループ内人材移動の研究』多賀出版や,共編著『新規事業の実態と展望』経営実務出版の一部に公表してきた)。
著者
永野 仁
出版者
明治大学社会科学研究所
雑誌
明治大学社会科学研究所年報 (ISSN:04656091)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.51-52, 2009-03-10

定年の数年前から、管理職層を中心に企業間の移動は発生しているが、人材流動化時代の到来と共に、非自発的な移動も含め、この年齢層での転職傾向が強まってきている。しかも、団塊の世代が定年年齢を迎えつつあるので、今後、定年期を含め中高年層の転職が、一層増加することが予想される。しかし一般に転職は、若年層より中高年層で、またスペシヤリストよりジェネラリストで、困難度が大きいことが知られている。本研究の目的は、中高年ジェネラリストが多くを占める経営管理層の転職者に、直接インタビューを行って詳細な情報を収集し、その情報をもとに転職の成果を高める方策を明らかにすることである。中高年者を含んだ実際の転職行動を分析した最近の研究には、渡辺(1999)、猪木・連合総研(2001)、玄田・中田(2002)、稲上(2003)、東京都産業労働局(2003)、日本労働研究機構(2003)、山本(2005)などがある。