著者
宮田 一郎
出版者
北陸大学
雑誌
北陸大学外国語学部紀要 (ISSN:09196978)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.133-169, 1992
著者
松原 知子
出版者
北陸大学
雑誌
北陸大学外国語学部紀要 (ISSN:09196978)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.65-77, 1993

この数年,英語教材としての文学作品の価値が見直されている。筆者は以前は文学教材を避けていたが,文学作品利用についてのさまざまな文献を目にして,3年前から小説を利用した教材を試みに使用してきた。そして教材としての小説のおもしろさを味わうと同時に,困難点をも実感した。Hirvela (1989)は文学教材を避けようとする教師を批判したが,筆者には,批判の対象となった教師の立場も十分理解できる。教材の使いやすさ,適切さは,様々な側面から考えられる。まず,教師として扱い易い教材,扱いにくい教材がある。また,教師が個人として使いやすいと思っても,いざ授業で使うとなると扱いにくい教材というのもある。さらに,授業を受ける学生にとっての扱いやすさは,教師の考える適切さとは異なる場合があるようだ。本稿では,中級(大学1〜2年)を対象とした授業で,小説が教材として扱いにくいと感じる要因を,上記の3つの視点から具体的に列挙し,実践例や内外の研究者の考え方を参考にしながら,それぞれの問題点への対処方法を考えていく。