著者
高橋 洋平 田中 優 甲斐 由佳 平野 浩紀 中谷 貴美子 伊藤 悟志
雑誌
高知赤十字病院医学雑誌 = Medical Journal of Kochi Red Cross Hospital (ISSN:09197427)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.49-55, 2018-03

処女膜閉鎖症は,尿生殖洞の発生異常により生じる比較的稀な疾患として知られている.症例は11 歳女性.初経は未発来.持続する下腹部痛を主訴に来院し,MRI にて腟留血腫を認め,手術時に外陰部の視診で腟口の閉鎖と閉鎖部位に薄い膜が膨隆しており診断に至った.処女膜切開,貯留血の排出を行い,切開部位の縫合を行った.術後は子宮・腟形態の回復を認め,月経も発来しており順調に経過している.本邦での発生例184 例の文献的考察を加えて報告する.
著者
神野 義行
雑誌
高知赤十字病院医学雑誌 = Medical Journal of Kochi Red Cross Hospital (ISSN:09197427)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.57-61, 2018-03

ツツガムシ病の2 例を経験した.症例1:61 歳男性.症例2:68 歳男性.ともに大豊町在住でふだんは農業に従事.草刈りなど屋外で作業をした数日後から発熱,倦怠感あり,その後全身の紅斑が出現し受診.上肢に刺し口様皮疹を認めた.いずれの症例も一般血液検査と生化学検査で軽度の肝機能障害と血小板減少,異型リンパ球の出現あり.抗ツツガムシ抗体ではIgM 抗体価の上昇を認めた.塩酸ミノサイクリン200 ㎎ /day の内服で治療を開始,臨床症状は速やかに軽快した.ツツガムシ病では診断・治療が遅れると重症化し,致命的になることもある.発熱,発疹,刺し口の主要3 徴候を認めた場合にはテトラサイクリン系などによる早期の治療開始が望まれる.