著者
神野 義行
雑誌
高知赤十字病院医学雑誌 = Medical Journal of Kochi Red Cross Hospital (ISSN:09197427)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.57-61, 2018-03

ツツガムシ病の2 例を経験した.症例1:61 歳男性.症例2:68 歳男性.ともに大豊町在住でふだんは農業に従事.草刈りなど屋外で作業をした数日後から発熱,倦怠感あり,その後全身の紅斑が出現し受診.上肢に刺し口様皮疹を認めた.いずれの症例も一般血液検査と生化学検査で軽度の肝機能障害と血小板減少,異型リンパ球の出現あり.抗ツツガムシ抗体ではIgM 抗体価の上昇を認めた.塩酸ミノサイクリン200 ㎎ /day の内服で治療を開始,臨床症状は速やかに軽快した.ツツガムシ病では診断・治療が遅れると重症化し,致命的になることもある.発熱,発疹,刺し口の主要3 徴候を認めた場合にはテトラサイクリン系などによる早期の治療開始が望まれる.