著者
馬場 洋介 新田 泰生
出版者
一般社団法人 日本産業カウンセリング学会
雑誌
産業カウンセリング研究 (ISSN:18809669)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.15-26, 2020 (Released:2020-08-21)
参考文献数
13

本研究では,再就職支援会社のキャリアカウンセラーが失業者に対してどのようなプロセスで心理的援助をしているのかについて,仮説生成することを目的とした。研究者が所属していた再就職支援会社において,再就職支援歴5年以上のキャリアカウンセラー11名の調査対象者に半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下,M-GTAと表す)によりデータを分析した。その結果,26個の概念,6個のカテゴリー,3個のコアカテゴリーが生成された。再就職支援会社のキャリアカウンセラーの失業者への心理的援助のプロセスとは,再就職について未体験で不安を抱える失業者の負の感情等を受けとめて【求職市場に一歩踏み出す準備を整える】ことを支援する段階を経て,応募しても何度も不合格を体験して自信を喪失している失業者に対して【再就職の厳しさを受けとめ,活動を促し続ける】循環的な支援をする段階を経て,【再就職実現に共にたどり着く】までの一連の再就職活動について,メンタル面とスキル面を統合的に支援するプロセスであることが示唆された。