- 著者
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岡村 純
- 出版者
- 日本癌病態治療研究会
- 雑誌
- W'waves (ISSN:18810241)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.1, pp.31-34, 1999
コロンブスの新大陸発見 (1492年) 以来, たばこ (アメリカ原産の一年生草木) の歴史がはじまる. わが国では元亀・天正~元禄 (1570 年~1704 年) 年間にたばこが伝来したといわれている.<BR>その後, 全世界各国において禁煙と販売の両者の相反する政策が交錯して行われてきている.<BR>1962 年たばこの健康への害がはじめて医学的に明らかにされた (英国王立内科医師会報告).爾来, 喫煙を経済面よりも健康の面を優先して捉える政策が推し進められてきているかにみえている.WHOでは5月31日を世界禁煙デーとしている.たばこの経済分析でも国家全体からすると, たはこ産業は差し引き年間 2 兆 8 千億円の社会コストを生み出している.しかし, このたばこ病は20世紀に駆逐できなかった. わが国では 21世紀における国民健康づくり運動 (健康日本21) -2010 年を目標-においても, 喫煙率の減少を小目標においている.<BR>この機会にこの喫煙問題が, 第 2 の阿片戦争に突入せざるを得ないかどうかを検証してゆきたい.