著者
後藤 眞
出版者
日本禁煙科学会
雑誌
禁煙科学 (ISSN:18833926)
巻号頁・発行日
vol.vol.7, no.08, pp.1-7, 2013 (Released:2021-08-09)

【要 旨】 背景:関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)は、原因不明の代表的な慢性炎症性疾患であり、発症・進展にはHLAな どの疾患感受性遺伝子に加え、免疫系と交絡する複数の環境因子が関与している。なかでも欧米での膨大な疫学研究と分 子生物学をはじめとする基礎研究により、環境リスクファクターとして、喫煙の重要性があぶり出されてきた。しかし、 我が国の専門家の間では、RA発症のリスクファクターとしてのタバコの認知度は高くなく、患者への指導はほとんどなさ れていない。日本の専門家への注意喚起を含めて、レビューしたい。 方法:PubMedならびに欧米の主要リウマチ関連雑誌の論文を参考にした。残念ながら、我が国での研究は、少ない。 結果:喫煙は、疾患感受性遺伝子を介する免疫異常を基礎とする慢性炎症によって、RAを発症、進展させる。しかし、RA の病態、予後に影響を与えない、という報告もある。 結語:喫煙は、RA発症を促進し、病態を修飾する可能性が高い。