- 著者
-
YADA Takuya
KAWASAKI Tsubasa
- 出版者
- 脳機能とリハビリテーション研究会
- 雑誌
- Journal of Rehabilitation Neurosciences (ISSN:24342629)
- 巻号頁・発行日
- pp.190520, (Released:2020-05-14)
両側延髄内側梗塞例は希有な症例であり,予後を含む詳細な臨床所見を記載した報告例は乏しい.われわれは,同部位梗塞後に予後良好であった症例を経験した.本症例における臨床所見,特に運動機能障害に着眼した評価結果について報告する.症例は40歳代の男性であり,左上下肢の動かしづらさを自覚した翌日に当院を受診し,入院した.第2病日の拡散強調画像において両側延髄内側(錐体,下オリーブ核,内側毛帯を含む)に高信号域がみられた.第2-3病日において,Brunnstrom recovery stage(BRS)はVI-VI-VI / V-V-V(上肢-手指-下肢, 右 / 左),Scale for the assessment and rating of ataxia(SARA)は合計9点(歩行3,立位2,坐位2,指追い試験0/1, 鼻-指試験0/1, 踵-すね試験0/2, 右/左),Functional independence measure(FIM)は121点(減点項目: 移動項目5点, 階段4点)であった.第15病日において,SARAは合計6.5点(歩行2, 立位1, 坐位2, 指追い試験0/1, 鼻-指試験0/1, 踵-すね試験0/1),FIMは124点(減点項目: 階段)に改善したが,BRSに変化は認められなかった.本症例は,体幹や左側上下肢の軽度運動機能障害が残存したが,第15病日にはFIMにて階段以外の日常生活活動が完全に自立した.