著者
佐竹 靖 加々見 良 河本 大地 吉田 寛
出版者
奈良教育大学ESD・SDGsセンター
雑誌
ESD・SDGsセンター研究紀要 = Bulletin of Center for ESD and SDGs (ISSN:27585948)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.41-50, 2023-03-31

本研究は、奈良教育大学附属中学校における「1・2年合同奈良めぐり」において、菩提川(率川)流域から学ぶ ESD 実践を構想し、実践の結果生じた生徒の変容からその効果を明らかにすることを目的としている。また、ESD で重視されるシステム思考を、中学校の実践に落とし込み、そのあり方や有効性についても考察する。本実践のねらいは、多様な視点から川の役割や人との関わりについて読み解き、持続可能な川のあり方や関わりについて自分事に引き 寄せて考えることで、流域の社会変容にせまる自己変容を促すことにある。実践の結果、生徒の流域に対する価値観の変容が引き起こされ、流域の持つ地域課題について自分事に引き寄せて思考することができた。
著者
高原 佳穂 河本 大地
出版者
奈良教育大学ESD・SDGsセンター
雑誌
ESD・SDGsセンター研究紀要 = Bulletin of Center for ESD and SDGs (ISSN:27585948)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.31-39, 2023-03-31

本稿の目的は、学校教育における地域と連携・協働した地域学習の体系を構築している京都府南丹市美山町の美 山小学校・美山中学校における「美山学」について、それが成立する前のへき地・小規模校における長年の取組の中で 育まれてきた実践を整理することである。美山小学校は 2016 年に美山町内の 5 小学校を再編して開校したが、その前から地域資源の活用が各小学校で行われていた。本研究では新聞記事や小学校再編時に作成された各校の閉校記念誌などを参照し、「美山学」成立の前段階における学校と地域との関係について検討した。地域が主体となって学校を支援 する例としては、育友会や読み聞かせ団体の活動があった。地域学習は各校で多岐にわたる活動が展開されたが、実際に地域の人と関わりながら進められた実践が多かった。また特別活動や行事などでも地域との交流が活発で、地域と合同で行事を開催するなど密接な連携が見られた。このように美山町では学校と地域との連携・協働が早くから活発であり、これらが土台となって「美山学」が成立したと考えられる。
著者
中村 基一 河本 大地 相生 真志 吉田 寛
出版者
奈良教育大学ESD・SDGsセンター
雑誌
ESD・SDGsセンター研究紀要 = Bulletin of Center for ESD and SDGs (ISSN:27585948)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.97-102, 2023-03-31

吉野林業は日本有数の木の産地として知名度が非常に高いが、原料供給の川上部分だけがクローズアップされ、 原木市場などの流通や製材業、木材製品の流通・販売業者などの川中部分に着目されることは少ない。そこで、本実践 においては黒滝村における川中の分野を取り上げる。原木を加工して、付加価値を加えていく過程を生徒に体験させた り、現地の人々の話を聞いたりすることで、地域教材として作り上げることができると考える。また、コロナ禍の影響 やウクライナ情勢、持続可能な社会を創るためにも、国産材に注目が集まっている。経済性を重視するあまり、安い外国産材や大規模工場での加工などに偏り、地域から持続可能な産業が消滅しつつある。そうした課題を克服し、今後も森の資源をさらに活用するためにはどのように行動すればよいか、考えさせたい。