著者
小林 典子
出版者
筑波大学留学生センター
雑誌
>筑波大学留学生センター日本語教育論集 (ISSN:13481363)
巻号頁・発行日
no.14, pp.15-28, 1999-02-20

初級日本語教科書、Situational Functional Japanese(SFJ)の文法解説には、<するverbs>と<なるverbs>、<+をverbs><-をverbs>(いわゆる他・自動詞)という用語が使用されている。しかし<するverbs>と<なるverbs>がどのような定義のもとにあるのか、<+をverbs><-をverbs>とどのような関係にあるのか、十分に明確に記述されていない。英語による文法解説の中には「"controllable"かどうか」「行為の主題がその行為に対してresponsibleかどうか」「行為主体を中心に述べようとしているのか」「結果を中心に述べようとしているのか」など、それぞれの文法項目ごとに異なる表現が解説に用いられている。また、「意志動詞」「意思性の表現」という用語も文法を論じるときに一般によく使用される。<するverbs>と<なるverbs>は動詞の意思性(制御性、control)の観点からの文法的な対立、<+をverbs><-をverbs>は他動性の観点からの対立として改めて定義を確認し、SFJのGrammar Notesの解説を見直した。