著者
坂本 治也
出版者
関西大学経済・政治研究所
雑誌
ソーシャル・キャピタルと市民参加
巻号頁・発行日
pp.1-31, 2010-03-31

本稿は日本のソーシャル・キャピタルの現状を各種統計データより検討する。国際比較の観点から日本のソーシャル・キャピタルの水準は中の上程度の高さであること、また時系列比較の観点から日本のソーシャル・キャピタルは1990年代以降減退しつつあることが明らかとなる。また本稿は、ソーシャル・キャピタル論が流行する背景についても考察する。現代政治におけるガバナンス化の趨勢と市民社会組織の活性化、社会崩壊に対する不安感の強まり、ソーシャル・キャピタル論の実証性、言葉自体の新奇性、という4つの背景要因が存在することを指摘する。