著者
熊田 一雄
出版者
愛知学院大学
雑誌
人間文化 (ISSN:09108424)
巻号頁・発行日
no.17, pp.364-353, 2002-09

本稿の目的は,1990年代のアメリカの宗教界を席巻した保守的男性運動プロミス・キーパーズにおけるセクシュアリティ観を,クィア(変態)理論の立場から,《ペニス》をめぐる言説に焦点をあてて分析し,筆者が《ペニス・フェティシズム》と仮に名付けるものの機能を分析することにある。《ペニス・フェティシズム》とは,「恋愛フェミニスト」が男根中心主義(ペニス中心主義)と呼んで実体化していたものを,クィア理論の立場から,単なるフェティシズムの一種として発展的に読み替えたものである。ペニス・フェティシズムは,ホモソーシャル(同質社会的)な社会において,しばしばホモエロティシズム(同性愛)を隠蔽し,強制的異性愛とホモソーシャリズムを両立させる機能をもつ。このことは,プロミス・キーパーズにおける保守的なセクシュアリティ観,厳格な童貞主義・反ポルノグラフィー主義と徹底した同性愛嫌悪・中絶反対の立場に関わる《ペニス》をめぐる言説に典型的に見られる。最後に,今後残された課題として,1. プロミス・キーパーズのセクシュアリティ観の実証的調査の必要性,2.《ペニス・フェティシズム》の文化による濃淡の差異の実証的調査の必要性,について言及する。
著者
守丘 淳
出版者
神戸学院大学人文学会
雑誌
人間文化 (ISSN:13434136)
巻号頁・発行日
no.30, pp.79-92, 2012