著者
齋藤 幸子 小室 直人 谷地元 直樹 辻栄 周平 植田 優基
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 教育臨床研究編 (ISSN:27583902)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1・2, pp.143-156, 2023-01

算数・数学科における公式暗記に頼った指導法や,算数におけるかけ算の順序の指導などに対し,近年,多くの問題点が指摘されている。このような問題に数学的・論理的に対処できる教員を養成するにあたり,大学教職課程での算数・数学の“教科内容科目”の責任は重大である。北海道教育大学の「教科に関する専門的事項(小学校)」(教科内容科目)『初等算数』において,旭川校では,令和3年度から数学教育専攻の複数の教員によるオムニバス形式の授業を開始した。この小論では,旭川校令和3年度『初等算数』における授業改善およびその根拠・ねらいについて論じる。学生達が将来小学校で算数を指導するための基礎となる題材を厳選しつつ教科専門教員の強みを活かすような授業内容の工夫について述べ,今後の課題も提示する。特に,6章では,学習指導要領において重視されている「データの活用」と「確率・統計」について専門教員の見解を述べる。
著者
清水 夕貴 池田 千紗
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 教育臨床研究編 (ISSN:27583902)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1・2, pp.95-105, 2023-01

特別支援学校や特別支援学級では体力づくりとして毎日運動に取り組んでいることも少なくない。近年,運動が脳を活性化させる研究から短時間の運動で注意機能を向上させるという報告もあり,特別支援教育においても毎日の運動が注意機能へ影響していることが予想される。そこで本研究は,運動習慣のない成人に協力を依頼し,毎日2分間の運動を3週間行い,運動による注意機能への影響を検討し,教育現場で運動を導入する際の手掛かりを得ることを目的に実施した。本研究で実施したわらべ歌「おちゃらかほい」に合わせて全身を動かすじゃんけんは,運動直後の注意機能評価で課題達成時間や正確性に,個人差はあるものの好影響を与えることが示唆された。一部の研究協力者の注意機能に短時間の運動の効果が見られたことから,個々に合わせた難易度や強度などの運動内容をさらに検討することで,教育現場での新たな運動の選択肢を広げることに寄与できると考える。