- 著者
-
佐々木 真吾
- 出版者
- 名古屋女子大学
- 雑誌
- 名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 = Journal of Nagoya women's University (ISSN:21857962)
- 巻号頁・発行日
- no.67, pp.35-43, 2021-03-10
子どもの行動に良い面と悪い面が存在するなど、子育ての場面では子どもを褒めるか叱るか曖昧な状況が数多く存在する。本研究では、褒めるか叱るか曖昧な状況での親の養育態度がレジリエンスと保育観の発達に及ぼす影響を検討した。大学生を対象に、子ども期の曖昧な状況での親の対応を、どの程度褒められたか、叱られたかという観点から回想してもらい、レジリエンス尺度および保育観尺度との関連を調査した。その結果、レジリエンスの合計点は、褒められることが多く叱られることが少ないと回答した者で、褒められることが少なく叱られることが多いと回答した者よりも高かった。同様に、レジリエンスの下位尺度である内面共有性、内省性の得点も、褒められることが多く叱られることが少ない者で高かった。また、子どもと対等に関わることを重視する協調的保育観は、褒められることが多く叱られることが少ない者で、褒められることが少なく叱られることが多い者よりも高かった。以上の結果から、褒めるか叱るか曖昧な状況では、子どものポジティブな側面を見いだして褒めることが、レジリエンスや保育観といった情緒・社会性の発達を促進することが示唆された。