著者
小野 芳朗
出版者
土木学会
雑誌
土木史研究講演集
巻号頁・発行日
vol.29, pp.47-52, 2009

御所用水は京都盆地北部の上賀茂神社が水利権を有していた京都盆地流入の淡水用水路群のうち、小山郷を灌漑し、御所の御庭用水や防火用水であった。明治維新以降、水量・水質的に確保の難しくなった用水を天皇の故郷、京都御所の防火のため、琵琶湖疏水を引水する。疏水の当初計画の北上ラインの目標は御所用水であった。本論では、この用水が京都御所・御苑のみならず、元治の蛤御門の変で焼失した上京の防火をも意図していたことを資料的に明らかにした。