著者
齊藤 享治
出版者
埼玉大学教育学部地理学教室
雑誌
埼玉大学教育学部地理学研究報告 (ISSN:09132724)
巻号頁・発行日
vol.15, 1996

日本にくらべ、フィリピンでは、同規模の集水域において扇面面積が10〜20%大きく、台湾では20〜50%も大きいことについて、斉藤(1994)は、フィリピンや台湾では、降水量が多く、流量が多いために、粗粒物質が遠くまで運搬されるためと考えている。さらに、フィリピンでは、台湾よりも、扇状地が小さいことについては、熱帯湿潤地城のために、粗粒物質の生産が少ないためと解釈している。ところで、熱帯湿潤地域のフィリピンにおいても、雨季・乾季の明瞭な西側型気候区と乾季が不明瞭な東側型気候区がある(Fisher、1964)。そのような気候条件の違いが、扇状地規模に影響を与えるのかどうか、本論文では検討する。