著者
別所 崇
出版者
奈良大学大学院
雑誌
奈良大学大学院研究年報 (ISSN:13420453)
巻号頁・発行日
no.13, pp.59-76, 2008

本研究は、個人の他者とのつながり方が、心理的距離の取り方にどのように反映されるかを、Wilfred,Bion(1961)の原子価の概念に基づき検証するものである。対人関係における自他の距離感には、パーソナル・スペースに代表される物理的距離感と、相手との親密度などに応じて決定される心理的距離感がある。しかし、先行研究にみられる心理的距離の研究では個人の特性や親密さの観点から心理的距離をとらえることが多かったように思われる。しかし、距離というからには、自分と相手という二者を考える必要がある。そこで本研究では、自分と他者との連結からみた心理的距離を、Bion(1961)の唱えた原子価の概念を利用し、さらにそれを発展させたHafsi(1997,2006a)の理論をもとに、ある空間における二者間の打ち合わせ場面を想定し、自分と相手の座席選択行動に、どのような違いが見られるかについての仮説を立て、新しく作成した対人心理距離尺度を使用し、原子価の観点からの検証を試みた。その結果、原子価が心理的距離の取り方に影響を及ぼす、ということが実証された。これにより、本研究では、自分と他者との連結から見た心理的距離についての新たな視点が示唆された。
著者
槇田 絵里香
出版者
奈良大学大学院
雑誌
奈良大学大学院研究年報 (ISSN:13420453)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.306-309, 2011-03

一〇世紀初頭に唐が滅亡し、五代十国の混乱期に入っても呉越国の海商を中心に中国海商たちの貿易活動は続けられた。一〇世紀末以降、宋が統一を行い、農業をはじめとする諸産業、国内外の商業活動及び科学技術の発展がもたらされ、中国海商の日本来航が頻繁となり、日宋貿易が展開していく。