著者
土谷 佳之 宇山 環 薮田 拓生 三浦 新平 加藤 敏英
出版者
全国農業共済協会
雑誌
家畜診療 = Journal of livestock medicine (ISSN:02870754)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.339-347, 2016-06

管内大規模酪農場において,Salmonella O4群を原因とする子牛の腸炎による死亡事故が多発したため,新生子へサルモネラ症不活化ワクチン接種を行った、,ワクチンは,出生翌日または3日齢およびその3週後に接種した。その結果,死亡率は接種開始前24週間の32.8%(40/122)から開始後24週間の6.9%(9/131)に有意に低下した (P<0.01)。また,月毎の治療率(月出生頭数の内,治療した個体の割合)は,徹底した消毒直後に低下する傾向が認められた。通常,ワクチンは,血中の移行抗体価が高い若齢期には接種すべきでないとされているが,今回,子牛のサルモネラ症に対しては出生直後のワクチン接種により臨床的な効果が得られたことから,このワクチンが子牛の免疫に何らかの影響を及ぼしたことが示1唆された。