- 出版者
- 島根県立畜産試験場
- 雑誌
- 島根県立畜産試験場研究報告 (ISSN:09146296)
- 巻号頁・発行日
- no.38, pp.23-25, 2005-03
トンネル換気方式をとる県内の酪農家において、牛舎内の換気を風向・風速調査に基づく入気口の改善が、暑熱環境下における乳用牛の生理的、行動的反応に及ぼす効果を検討した。試験区分は試験日及び入・排気口の構造により2期に区分し、従前構造(H16. 8.20-Hl6.8.27)を1期、入気口改善構造(H16.8.28-H16.9.3)を2期とした。1期で牛舎内の気流をシャボン玉により可視化し、11ヵ所で風向・風速を調査した結果、牛床からの高さ0.4mの淀み部分(風速0.0m/秒)が3ヵ所見られた。また牛床からの高さ1.8mと0.4mの平均風速を調査した結果、1.8mが1.36m/秒、0.4mが0.83m/秒と差が大きかった。2期でシャボン玉により風向を確認しながら、牛舎側面の入気口の高さを0.9m-2.0mから0.9m以下へ、側面の入気口の間隔を2mに変更し、風速を調査した結果、0.0m/秒であった3ヵ所の淀み部分はそれぞれ1.28m/秒、1.34m/秒、1.20m/秒となり淀み部分が無くなり、牛床からの高さによる平均風速も1.8mが1.26m/秒、0.4mが1.23m/秒となった。生理的反応の直腸温と呼吸数は1期が38.9℃、54.5回/分、2期が38.5℃、48.3回/分で、それぞれ2期が1期に比較し有意(p<0.05)に低かった。行動調査において佇立時間は、1期が770.2分/日、2期が650.8分/日で、2期が1期に比べ有意(p<0.05)に減少した。横臥時間については1期が669.8分/日、2期が757.4分/日で、2期が1期に比べ有意(p<0.05)に増加した。採食時間については1期が405.7分/日、2期が407.2分/日となり有意差は認められなかった。