著者
有馬 儀信 飯島 久実 来間 正展 村尾 克之
出版者
島根県立畜産技術センター
雑誌
島根県立畜産技術センター研究報告 (ISSN:18821030)
巻号頁・発行日
no.41, pp.20-23, 2010-03

家畜排せつ物の堆肥化を促進するため、コンプレッサーによる高圧空気を通気する方法を開発した。0.5Mpaに加圧した空気を2.46l/分吐出する吐出口内径0.2mmのエアーノズル(以下「微孔ノズル」)を開発し、このノズルを500mm間隔で3個装着した差込パイプ(以下「エアーインジェクター」)を堆積した家畜排せつ物とオガクズの混合物である堆肥化試料に差し込み、強制通気を試みた。また、微孔ノズルを600mm間隔で装着したマット(以下「高圧通気マット」)を作製し、これを敷設した上に堆肥化試料を堆積し強制通気を試みた。エアーインジェクターで通気した堆肥化試料の温度は70℃近くまで上昇し、2か月後に50℃に低下した。この期間の総乾物分解率は40.7%、通気をしなかった場合は25.4%であった。また、屋外で25.9m2の面積に敷設した上に堆肥化試料を堆積し、さらに遮水シートを被せて床面から通気を行った。堆肥化試料の温度は80℃近くまで上昇した後、緩やかに下降し、3か月後に50℃に低下した。この期間の総乾物分解率は37.1%、通気しなかった場合は23.0%であった。以上のことから、高圧空気通気による堆肥化は発酵温度はいずれも60℃以上、総乾物分解率も37.1%〜40.7%と良好な成績が得られた。
著者
竹下 幸広 吉原 由実子 村尾 克之
出版者
島根県立畜産試験場
雑誌
島根県立畜産試験場研究報告 (ISSN:09146296)
巻号頁・発行日
no.38, pp.23-25, 2005-03

トンネル換気方式をとる県内の酪農家において、牛舎内の換気を風向・風速調査に基づく入気口の改善が、暑熱環境下における乳用牛の生理的、行動的反応に及ぼす効果を検討した。試験区分は試験日及び入・排気口の構造により2期に区分し、従前構造(H16. 8.20-Hl6.8.27)を1期、入気口改善構造(H16.8.28-H16.9.3)を2期とした。1期で牛舎内の気流をシャボン玉により可視化し、11ヵ所で風向・風速を調査した結果、牛床からの高さ0.4mの淀み部分(風速0.0m/秒)が3ヵ所見られた。また牛床からの高さ1.8mと0.4mの平均風速を調査した結果、1.8mが1.36m/秒、0.4mが0.83m/秒と差が大きかった。2期でシャボン玉により風向を確認しながら、牛舎側面の入気口の高さを0.9m-2.0mから0.9m以下へ、側面の入気口の間隔を2mに変更し、風速を調査した結果、0.0m/秒であった3ヵ所の淀み部分はそれぞれ1.28m/秒、1.34m/秒、1.20m/秒となり淀み部分が無くなり、牛床からの高さによる平均風速も1.8mが1.26m/秒、0.4mが1.23m/秒となった。生理的反応の直腸温と呼吸数は1期が38.9℃、54.5回/分、2期が38.5℃、48.3回/分で、それぞれ2期が1期に比較し有意(p<0.05)に低かった。行動調査において佇立時間は、1期が770.2分/日、2期が650.8分/日で、2期が1期に比べ有意(p<0.05)に減少した。横臥時間については1期が669.8分/日、2期が757.4分/日で、2期が1期に比べ有意(p<0.05)に増加した。採食時間については1期が405.7分/日、2期が407.2分/日となり有意差は認められなかった。