1 0 0 0 IR 「紅白梅図」

著者
三桝 正典
出版者
広島女学院大学人間生活学部幼児教育心理学科
雑誌
広島女学院大学幼児教育心理学科研究紀要 (ISSN:21891184)
巻号頁・発行日
no.5, pp.39-45, 2019-03-20

2018年【平成30年】9月,全国でも筆つくりで有名な熊野町の町制100周年を記念して特別展「筆が奏でる琳派の美」が熊野町筆の里工房で開催された.国の重要文化財など琳派の貴重な作品58点が 2期に渡り公開された.琳派は約400年前に本阿弥光悦と俵屋宗達によって創始され,尾形光琳・酒井抱一などによって継承された日本を代表する伝統的な流派である.その琳派の特徴的な表現の要素は,展覧会の図録や作品展示などでも示されていたが,「京の雅」「独特の技法による幽玄」「装飾的なデザイン」「金銀による大胆な余白」が挙げられる.筆者の作品もこれらの要素を用い表現してきている.本論では,これらの要素を元に制作した筆者の作品と制作過程を紹介しながら「ジャパニーズモダン」の表現の可能性を探りたいと考える本論文では,本年度俵屋宗達と尾形光琳をモチーフとして制作した 3点の作品「紅白梅図」の制作過程を記すると共に琳派の歴史的な表現要素と筆者の目指す現代表現における「ジャパニーズ・モダン」が創り出す不思議さや面白さの一端に触れることが出来ればと考えている.